害虫防除の現場で長年多くの相談を受けてきた立場から申し上げますと蜂の被害を最小限に抑えるための最善策は巣が完成してから駆除することではなく蜂の巣の作り始めそのものを阻止することにあります。蜂、特に女王蜂は巣作りの場所を決める際非常に慎重に環境を吟味します。彼女たちが求めているのは天敵の鳥に見つかりにくく雨に濡れずさらに適度な温度が保たれる場所です。これを逆手に取れば家を蜂にとって居心地の悪い場所に変えることが可能です。まず実践していただきたいのが忌避剤の活用です。蜂が巣を作りやすい場所、具体的には軒下の角や換気口の周り、ベランダの天井付近などに市販の蜂忌避スプレーや木酢液を散布しておくとその独特な臭いを嫌って蜂が寄り付かなくなります。これらの薬剤は揮発しやすいため二週間に一度程度のこまめな再散布が成功の鍵となります。また物理的な対策も極めて有効です。蜂の巣の作り始めの場所として選ばれやすい戸袋の隙間やエアコンの配管穴などはあらかじめパテや金網で塞いでおくことで物理的に侵入を遮断できます。庭の剪定も重要です。枝葉が密集した場所は蜂にとって絶好の隠れ家となるため風通しを良くしておくことで営巣のリスクを大幅に下げることができます。さらに意外な盲点として挙げられるのが古い巣の跡です。蜂は以前に巣があった場所を安全だと判断する習性があるためもし古い巣の土台が残っている場合はきれいに削り取っておかなければなりません。プロの視点では四月の最高気温が十五度を超え始めた時期が対策開始のデッドラインです。この時期に女王蜂が偵察行動を行っている姿を見かけたらそれはまもなく近隣で蜂の巣の作り始めが起こる予告信号です。その一匹を殺虫剤で追い払うか捕獲器を設置して女王蜂そのものを減らすことで地域全体の蜂密度を下げることも検討に値します。住まいを清潔に保つことと同時に蜂の視点に立って家全体の脆弱性を点検すること。この予防意識の有無が数ヶ月後の安心感を左右するのです。自分一人で対策を講じるのが不安な場合は巣作りが始まる前の予防散布サービスを専門業者に依頼するのも賢明な選択と言えるでしょう。
プロが教える蜂の巣の作り始めを未然に防ぐ方法