家の中でゴキブリを一匹見つけた時、多くの人は目の前の敵を駆除することに集中します。しかし、それは一時しのぎの対処療法に過ぎません。ゴキブリとの終わりのない戦いに終止符を打つためには、そもそも彼らを家の中に一歩も入れさせない、鉄壁の防御、すなわち「侵入経路の完全封鎖」こそが最も重要かつ効果的な戦略となります。ゴキブリは、私たちが想像する以上にわずかな隙間からでも巧みに侵入してきます。まず、最も警戒すべきは、玄関や窓、ベランダです。ドアの下に隙間があれば、隙間テープを貼って物理的に塞ぎましょう。窓の網戸に破れがないか、サッシとの間に隙間ができていないかを定期的に確認し、必要であれば補修します。換気扇や通気口も、外部と直接繋がっているため、格好の侵入経路となります。使用していない時は、専用のフィルターや目の細かいネットでカバーをすることが有効です。特に見落としがちで、しかし非常に重要なのがエアコン周りの対策です。室外機と室内機をつなぐ配管が壁を貫通する部分には、しばしば隙間ができています。この隙間は、エアコンパテを使って粘土のように完全に埋めてしまいましょう。また、室外に伸びているドレンホースの先端は、ゴキブリにとって格好の入り口です。必ず防虫キャップを取り付けて、外部からの侵入をシャットアウトしてください。これらはホームセンターなどで手軽に入手できます。さらに、キッチンや洗面所、風呂場の排水口も侵入経路となり得ます。排水トラップに水が溜まっていることで下水からの侵入を防いでいますが、長期間家を空けると水が蒸発し、道が開かれてしまうことがあります。使わない排水口には蓋をしておくのが賢明です。これらの対策は地道な作業ですが、一つ一つ着実に実行することで、ゴキブリが侵入できる物理的な隙間は劇的に減少します。ゴキブリのいない快適な生活は、こうした細やかな防御策の積み重ねによって築かれるのです。
ゴキブリの侵入経路を完全に封鎖せよ