暦がめくれ、外の景色が季節ごとに装いを変えるように、私たちの住まいの中に現れる小さな隣人たちも、その時期に応じた顔ぶれで姿を見せます。春の訪れとともに最初に顔を出すのは、冬眠から目覚めたナナホシテントウや、日当たりの良い窓辺を忙しそうに歩くタカラダニといった、どこか季節の便りを感じさせる虫たちです。赤い小さな点のようなタカラダニは、コンクリートの隙間から湧き出すように現れますが、その期間は一ヶ月ほどと短く、初夏の訪れとともにいつの間にか姿を消していきます。梅雨の時期になると、湿気を帯びた空気と共にチャタテムシやトビムシといった、より控えめで目立たない虫たちが主役になります。彼らは部屋の隅々までパトロールするように現れ、私たちが気づかないわずかな湿気の停滞を教えてくれます。夏の本番には、キッチンの果物かごの周りで踊るコバエや、夜の明かりに誘われて網戸に張り付く小さな蛾たちが加わり、家の中の生態系は最も賑やかになります。かつての私は、これらの小さい虫を見つけるたびに敵対心をむき出しにして排除することばかり考えていました。しかし、彼らの生態を深く知るうちに、一匹の虫がそこにいる理由を想像する心の余裕が生まれました。たとえば、秋の深まりとともに現れるシミは、冬の寒さを避けて私の家をシェルターとして選んだ旅人のようにも見えます。もちろん、衛生面や実害がある場合は毅然とした対応が必要ですが、すべての虫を絶対悪として排除しようとする緊張感から解放されると、日常の景色は少しだけ優しくなります。虫たちは、自然界と文明の境界線が実は曖昧であることを、その小さな体で証明しています。窓の隙間から入り込む一筋の風が彼らを運んでくるように、私たちの暮らしは常に外の世界と繋がっているのです。小さい虫たちの出現を、単なるトラブルとして捉えるのではなく、地球という大きな生命の営みの一端が、自分の生活圏にまで手を伸ばしてきているのだと感じてみる。そんな視点を持つことで、掃除の時間も単なる義務から、住まいという「場」を整え、自然との適切な距離を確認する大切な儀式へと変わっていきました。季節が一巡し、再び新しい顔ぶれに出会うとき、私は以前よりも少しだけ成長した観察者の目で、彼らを迎え入れることができるでしょう。自然のサイクルの中で、私たちは今日も小さな命と共に、この住まいという空間を共有しているのです。
季節の変わり目に家の中で見かける小さい虫の不思議と共生